工学院大学 先進工学部 応用化学科
食品のおいしさを化学する
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食品のおいしさを化学する

 工学院大学の応用化学科では、化学の視点から、「食品」について学ぶことができます。そのため、工学系の大学で取得できることが珍しい資格として、「食品衛生管理者・食品衛生監視員」の資格を取得することができます。また、食品化学工学研究室(山田昌治教授,杉山健二郎講師)では、安全で健康な食品に寄与するために、「化学のちから」で食品の機能や品質特性に関する研究を行っています。

 ここでは、山田教授がテレビなどで解説した「食品」に関する話題のうち、3つのトピックについて、化学の視点から解説します。

 中華麺は、かん水と呼ばれる塩基性の無機塩を添加してグルテン組織構造の強化を図っています。これは、麺生地のpHが高くなると、グルテンタンパク質を構成するグルタミンやアスパラギンが脱アミドを起こして、それぞれグルタミン酸、アスパラギン酸に変化し、グルテン内部でのイオン結合が増えるという原理に基づいています(図1)。

 この現象は、ゆで水を塩基性にすることでも起こり、重曹をゆで水に添加することで、ソフトな食感の麺を歯ごたえのある食感に変えることができます。ここでは、この技術を用いて、素麺のグルテン組織構造を強化し、調理耐性を改善することについて解説します。 (続き)


 小麦粉のタンパク質は水と結合してグルテンと呼ばれる粘性と弾性を併せ持つ物質になり、小麦粉食品の食感に大きな影響を与えています。パンや麺を作る時には、できるだけグルテンが形成されるように製造法を工夫するのですが、逆にグルテンが形成されないようにする食品もあります。その代表例が天ぷらの衣です。グルテンが形成されるように衣液を作り、天ぷらを揚げると、ボテッとした食感になり、天ぷらとしては失敗作ということになります。

 ここでは、天ぷらの衣液を事例として、グルテンの形成について化学反応論の立場から考察します。 (続き)

 2015年NHKの朝の情報番組において、ガステーブルに付属している魚焼きグリルで食パンを焼くとおいしいトーストになる、という話をしたところ視聴者から反響がありました。

 番組制作時に、おいしさを数値化できないかと要請され、トーストの品質は、表面がカリッとしていて、内部がソフトでモッチリした食感の場合においしいと感じることから、中心部分の水分含有率(以下水分率と呼ぶ)を指標とすることにしました。すると興味深いことに、魚焼きグリルでトーストを焼くと、焼く前よりも焼いた後の方が中心部分の水分が高くなるという現象を見いだしました。その要因として、強い火力とガスの燃焼に伴うグリル内水分の上昇が考えられました。

 ここでは、意外性という意味で、いわゆるムペンバ効果にも似たこの新規な現象のメカニズムを明らかにし、水分率を指標とした高性能オーブントースターの開発についてお話しします。 (続き)