高分子物理化学研究室
松田 靖弘 教授/川井 忠智 准教授
「増粘多糖類」は馴染みのない言葉だと思いますが、製品に適度な粘度を与えるために使われている高分子です。
「そんなの私には関係ない」と思っていませんか。増粘多糖類は食品、化粧品、練り歯磨き、ハンドクリームなど幅広い製品で使用されている「縁の下の力持ち」で、誰でも使ったことも食べたこともある高分子です。
増粘多糖類の一部はらせん構造を持ち、加熱することでらせんがほぐれ、冷却することでらせんを巻き戻します。
増粘多糖類を含む食品を調理する時も意識せずに、らせんを解いたり巻き戻したりしています。
この過程で増粘多糖類の構造も、粘度などの性質も変わるため、増粘多糖類のらせんの巻き戻り現象を解明することは実用上も非常に重要です。
増粘多糖類のらせんの巻き戻り現象を理解するためには、局所的にらせんがどれくらい巻き戻っているか、分子全体でどんな構造になったか、分子同士が絡み合ってどのように粘度が変化しているか、幅広いスケールで増粘多糖類の構造を調べる必要があります。
増粘多糖類の分子量 (重さ) と回転半径 (大きさ) を測定する装置です。つまり、増粘多糖類の身体測定です。増粘多糖類の構造を知るための基本的な測定機器です。
毛細管と言う細長い管を流れ落ちる時間を測定することによって、増粘多糖類が溶けている水溶液の粘度を測ります。増粘多糖類の粘度を正確に測るには特注の1 m以上ある毛細管を使う必要があります。
様々な測定で得られたデータから増粘多糖類の構造がどのように変わったのか考えます。それに基づいて、どのような条件で増粘多糖類の粘度が増加するか、減少するか、一定に保てるか考えます。現在は、種々の添加剤を加えた際の影響など、実際に増粘多糖類が使用される状況に近い条件下での変化についても調べています。