例えば?
A
一例として、次世代エネルギーの話じゃ。今、エネルギー源として主なものは石油や石炭などの化石燃料と原子力じゃ。
Q
うん、うん。
A
じゃが、大きな課題がある。地球温暖化の問題を知っているかな?化石燃料を使うと最終的に二酸化炭素となり、その温室効果により、将来的に地球の平均気温が上がってしまう問題じゃ。
Q
平均気温が上がると何か悪いことが起こるの?
A
グリーンランドや南極などの地上の氷が融けることにより、最悪の場合、世界の大都市のほとんどは海底に沈むといわれている。
A
また、疫病の流行や食料不足など様々な問題が出てくるんじゃ。
Q
え?それは大変ね。
A
二酸化炭素を出さない次世代のエネルギーとして水素エネルギーがある。今は主として化石燃料から造っているが、将来的にはバイオマスなどから造れる可能性があり、こうなると究極のクリーンエネルギーになるね。
Q
水素エネルギーってすごいんだね。
A
水素からエネルギーを取り出すには、燃料電池が使われている。燃料電池を使うと水素から直接電気エネルギーを取り出すことができるんじゃ。
Q
面白そう!
A
水素エネルギーの実用化は、日本が世界で一番進んでいるんだ。トヨタなどの自動車メーカーは、燃料電池をエンジンとした車を世界で始めて販売しているし、一般家庭に電気とお湯を供給する燃料電池を使ったシステムも日本が世界で初めて実用化したんだ。
Q
へぇー。日本のこの分野の技術力ってすごいんだね。
A
しかし、水素エネルギーにも大きな課題が二つある。水素ガスは爆発限界が広く(空気中では4.1-74.2%)、分子が小さいためガス漏れも起こしやすく、危険なことと、気体のため体積当たりのエネルギー密度が低いことじゃ。
Q
うーん。難しい課題ね。
A
そこで応用化学の出番じゃ。 例えば燃料電池自動車では、一回の水素ガスの充てんでガソリン車並みの走行距離を得るためには、70MPa(約700気圧)の猛烈な高圧に圧縮する必要がある。
Q
大変そー。
A
水素ガスを高圧に圧縮し、安全に運搬するためには、ガス漏れなく水素を高圧に、安全に保持できる高圧ガスボンベが必要じゃが、そのような高圧ガスボンベを造る素材を開発するのも応用化学の重要な役割の一つじゃ。
Q
応用化学は、次世代のエネルギー開発にも必須の技術なのね。