応用化学科では、化学の視点で食品のおいしさを考えるという新しい興味を発見できました。
私は大学時代に飲食店でアルバイトしていましたが、大学で食品化学や分析化学など、様々な化学を勉強していくなかで、食品のおいしさを化学分析などで数値化できれば、店長が作る料理のおいしさの秘密を明らかにできて、自分でも再現できるかもしれないと考えるようになりました。
これが、私が食品分野を志したきっかけです。
大学4年次と大学院では、食品化学工学研究室(現:食品化学研究室)に所属し、麺のコシ(食感)と内部構造(グルテン組織構造)との関連性を明らかにする研究に取り組みました。
研究を通して、人の感性によって評価される食品も、その食品がもつ様々な特性を数値化することで、客観的データに基づいて評価できること、また、食品の特性を数値化する上で、化学の知識や技術が役に立つことを学びました。
私は現在、化学品・食品事業を担う化学素材メーカーで、食品プロセス開発課に所属し、チョコレートやマーガリンの原料となる油の製造方法の最適化や、新規プロセスの開発を行っています。 新しい製品を製造プロセスに導入するためには、ラボスケール(数kg)で実現した品質を維持したまま、数t以上にスケールアップする必要があります。 その際には、様々な視点から製品の品質を数値化し、得られた客観的データを確認しながら、製造条件の最適化を行っています。大学の研究室で学んだことが活かされていると実感しています。 また、大学1年次から幅広い化学を学習し、週に1回設置されている豊富な実験の授業を通して、知識を活用する様々な技術を身に付けられたことも、大変役に立っています。 身近なくらしに展開できる化学を学べることが応用化学科の魅力だと思います。
応用化学科の特徴は、学ぶことのできる分野が幅広いことです。自分の目指す分野が既に決まっている人はもちろんのことですが、私のように、漠然と理系や化学に興味があるという人にも良い学科だと思います。
化学の基礎にはじまり、生物や物理も学びます。それらを通して、自分の可能性に気づき、それを突き詰めることで高い専門性を得ることができます。
大学4年次の1年間と大学院の2年間、食品化学工学研究室(現:食品化学研究室)に所属し、製パン用小麦粉の品質劣化挙動に関する研究に取り組みました。
「食品」という化学とは異なると感じていた分野においても、化学の知識や技術、考え方が必要であることを知りました。
私は現在、食品会社の食品素材開発部に所属し、水産エキスの担当者として、自社原料や最終製品、新規技術といった幅広い開発業務を行っています。
ニーズに応えるべく、原料の調査、エキスの抽出など、日々検証を繰り返しています。
学生時代の研究と現在の仕事とは全く異なりますが、食品を扱う上では、幅広い化学の知識はもちろんのこと、微生物、酵素などの知識も必要であり、応用化学科で培ったことが活かせていると実感しています。
後輩の皆さんには、日頃から様々な物事に興味をもって過ごして欲しいと思います。思いがけないところに発見があったり、目標としたいものが隠れていたりするかもしれません。また、そんな経験が工学院大学ではできると、私は思います。 私は大学での授業や研究を通して、やりたいことを見つけることができました。仕事も勉強も興味を持つことが大切です。日頃からアンテナを張り、知識・経験を自分の力に変えてください。