機能性セラミックスで
未来を切り拓く
主に無機材料(セラミックス・ガラス)を用いて、超イオン伝導・廃棄物固化などの機能を付与した、新しい機能性材料の創製を目指して研究を行っています。 リン酸異常現象などのガラスの構造と物性に関わる現象といったベーシックサイエンスにも力を入れています。
全固体電池・燃料電池などに利用可能な固体電解質としての機能をもつガラスセラミックスの開発を行っています。右の図は超イオン電導性ガラスセラミックスの結晶構造図です。 様々な原子サイトがありますが、それらのサイトに適切な元素を配置することで、イオン電導性等の物性をコントロールすることができます
環境汚染の原因となる放射性廃棄物や重金属などの有害物質を長期間安定に保管するためのガラス固化技術を開発しています。
バイオミネラリゼーションと歴史的伝統材料にヒントを得て新しい機能性金属酸化物を開発しています。 地下水に生息する鉄酸化細菌が地表に現れる際に創り出す水酸化鉄は、見事に制御された多孔質チューブ状構造を持っています。 この材料を単に加熱するだけで鮮やかな赤色顔料が得られます。また、日本最古の人工赤色顔料(吹屋ベンガラ)には微量のAlに含まれており、酸化鉄赤色顔料(α-Fe2O3)の鉄サイトへのAl3+の固溶が高彩度化に有効であることがわかっています。 本研究では、鉄酸化細菌と吹屋ベンガラから着想を得て、特異なナノ・マイクロ構造を有する高彩度多孔質酸化鉄顔料を合成し、着色材としての応用研究を進めています。 下の図は酸化鉄ナノ粒子から成る多孔質構造体の電子顕微鏡像(左)と細孔構造(右)です。
鉛を含む工業製品は数多くあります。特にガラスに含まれることが多いため、ガラスと無機物の反応を理解することができれば、工業製品の鉛フリー化に貢献できます。 本研究室では、モデルケースとして、日本の伝統工芸の代表である陶磁器を取り上げ、特にその赤色着色に着目し、ガラスと酸化鉄微粒子の反応について詳細に解析しています。 陶磁器の着色に用いる上絵用のガラスは、約800℃で焼き付けることを前提として設計されています。そのような高温では安定な無機化合物である酸化鉄赤色顔料(α-Fe2>O3)もガラスと反応して分解します。 所望の赤色を得るためには、酸化鉄微粒子の分散と焼成時における反応を制御する必要がありますが、反応性はガラスの物性や組成によって変化するため、非常に複雑です。 私たちはガラスと酸化鉄の高温時における反応の本質を多角的な分析手法を用いて明らかにすることを目指しています。 下の図は上絵用の無鉛ガラスと酸化鉄赤色顔料の焼成時における反応を模式的に示した図です。
鉛筆の芯を細かくしていくと炭素原子1層分の厚さになります。この1枚の層をグラフェンといいます。 グラフェンを利用すると、電池、キャパシタ、トランジスタなどの超高性能化を実現できるといわれていますが、作製方法が難しく工業的な利用には課題が山積しています。 本研究室では、グラファイトをアノードにして電気化学的な酸化・インターカレーションを利用してグラファイトを剥離する手法を検討しています。 様々な電解手法や電解液を用いてグラファイトを剥離できることがわかっています。電気を駆動力としているため、クリーンかつ短時間のプロセスで剥離を完了できることが、電気化学的手法の利点です。下の図はグラファイト粉末を特殊な電解方法を用いて剥離した結果です。 左の写真が処理前のグラファイト粒子で、右の写真が処理後の試料の写真です。塊状のグラファイトが見事に二次元化していることがわかります。
無機材料の合成や構造解析に関する技術相談・講習会など
高速昇温電気炉、電導度測定装置、SEM、紫外可視分光光度計、蛍光分光光度計、FT-IR、熱分析装置(TG-DTA, TG-MS, DSC)、XRDなど