高機能性ナノマテリアルの創製
家電、化粧品、食器、乗り物、エネルギー貯蔵、電子デバイスなど、身の回りの生活用品のみならず、陶磁器をはじめとした伝統工芸分野など、様々な分野に最先端の表面処理技術が活用されています。 本研究室では、固体表面および無機固体材料そのもののナノ・マイクロスケールの構造を、無機化学、電気化学、表面化学、固体化学の観点から制御・解析し、より高度な機能性材料を創製するための基礎と応用技術の確立を目指し研究に取り組んでいます。
金属を陽極にして電解液中で通電すると金属表面にナノ・マイクロメートルスケールの孔を有する酸化物薄膜が形成されます。この手法はアノード酸化と呼ばれています。 アノード酸化は古くからアルミニウムの表面処理に利用されており、耐食性、耐摩耗性、装飾性を付与するための優れた手法として、現在においても工業的に広く利用されています。 アノード酸化の条件を適切に設定することで、酸化皮膜の厚さ、孔の構造を精密に制御することが可能であるため、ナノテクノロジーの観点からも幅広い分野に利用できると期待されており、最先端研究分野でも注目されています。 下の写真は様々な条件で作製したアノード酸化ポーラスアルミナ皮膜のSEM像です。規則的な孔配列を確認することができます。
情報通信技術、いわゆるICT (Information and Communication Technology) 技術の基盤となるのは、加速度的なコンピューターの進化です。 私たちが普段使用しているパソコン、スマートフォン、ラップトップコンピューターには無数の半導体デバイスが入っています。 これらの半導体デバイスには極めて微細な配線や加工が施されており、そのナノ・マイクロメートルスケールの制御性がコンピューターの性能を支えています。 従来の半導体微細加工技術にはドライプロセスが利用されておりますが、特別な装置や環境が必要になります。 私たちは、未来のエレクトロニクス分野を切り開く新しい微細加工技術として、簡便で大面積に加工が可能なウェットプロセスにより、ナノ・マイクロスケールの構造を制御することを試みています。 下の図は、様々な条件で加工したGaAs基板の断面電子顕微鏡像であり、微細なGaAsのピラー上に金(Au)がキャップされた構造になっています。
金属材料の表面改質、半導体材料の微細加工、機能性酸化物材料の開発、金属酸化物の構造解析
電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)、グロー放電発光分析装置(GD-OES)、集束イオンビーム加工装置(FIB)、反射型偏光顕微鏡、分光測色計など。