食品の個性を化学する
様々な食品が個々にもつおいしさや機能性に関わる“個性”について、それに関わる成分構造の特定やその生成要因、様々な条件下での組成変化など分子レベルで解明する研究を行っています。さらにメタボローム解析という網羅的成分分析とインフォマティクス(データサイエンス)を食品に活用した解析により、食品製造プロセスの最適化の評価やオフフレーバーの解明、おいしさの見える化、新たな有用成分の発見などに取り組んでいます。
また、植物を利用した、健康食品成分や食品着色料、香料などの有用物質生産システムの構築を目指し、それらの化合物の生合成に関わる遺伝子の機能を明らかにする研究も行っています。
食品は非常に多様な成分が存在する複雑系から成り立っており、その一部がそれぞれの食品のもつ栄養、おいしさ、機能性に関与しています。 そのような食品の特性は、特定の成分のみでは説明できず、さらにその種類や鮮度、調理加工によって成分組成が大きく変動します。 この研究では、味と香りに着目し、網羅的成分分析と官能評価などのデータを統合した解析法によるデータサイエンスを活用して野菜果物などの植物性食材の風味に関与する成分の特定、その生成に与える要因について解明することを目指しています。
食品において、その香気組成の変化は食品の持つフレッシュ感や調理香、オフフレーバー(好ましくない風味)に大きく影響を与えます。
本研究では、食品の保存・製造・加工条件と香気成分組成分析の関係について着目し、その指標(マーカー)となる香気成分の特定を行っています。
特に、職人の腕を頼りに発展した和食伝統調味料についての科学的解明を目指しています。
植物や藻類などの光合成生物がつくり出す化学物質の中には、肥満防止や老化抑制、免疫機能の増強など、私たちの健康機能性に寄与するものが数多くあります。 私たちは、そのような機能性成分を探索するとともに、それらが光合成生物の細胞内でどのように生合成されるのかを遺伝子レベルで明らかにすることを目的として、光合成生物がもつ化学物質の分析、それらの生合成に関わる遺伝子の機能解析、およびそれらの生産性の評価などにチャレンジしています。 有用成分の大量生産や、新たな機能性を付与した高付加価値食品の開発に役立てることを目指して研究しています。
食品のにおい分析、食品の物性測定および評価、植物抽出成分の分析、遺伝子解析
ガスクロマトグラフ質量分析計、液体クロマトグラフ質量分析計、ラピッドビスコアナライザー