有機高分子化学研究室
小林 元康 教授/後関 頼太 准教授
ヒモ状の高分子を材料表面に生やし、歯ブラシのような構造にした分子組織を「ポリマーブラシ」と呼びます。10 万分の1ミリという微細な構造ですが、これにより材料の接着性や防汚性、生体適合性などが劇的に変化します。研究室ではそれを応用して、水中でもくっつく接着剤や水ですすぐだけで汚れが落ちる材料、人工関節などにも使える超低摩擦材料などの開発に取り組んでいます。
材料基板を反応溶液の中に浸すと重合反応が起こり、表面からポリマーブラシが生長します。
ポリマーブラシを生やした基板にラー油を垂らして水に沈めると、洗剤などを使わなくてもラー油が球状になって剥がれます。
高分子ブラシが 水で膨らみ、
油を浮き上がらせる。
海に生息するイガイが濡れた岩に強力に貼り付く理由は足先からでるタンパク質。その複雑な構造式のポイントを見極め、まねて高分子を設計することで、水中でも接着できる材料が合成できます。他にも低摩擦性はうなぎのぬめり、防汚性は汚れをはじくカタツムリの殻など、ヒントは自然界に溢れています。